我が心、本日も晴天なり

保守の補習時間

選択的夫婦別姓 「別姓夫婦の子の氏は、今までと変わらない」は本当か?

 夫婦別姓を推進する人たちは、「別姓夫婦の子どもの氏はどうするのか?」という懸念に対して、「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる。今までと変わらない」となぜか判で押したように答えるが、そもそもこれは懸念に対する答えになっていない

「別姓夫婦の子どもの姓はどうするのか?」とは、「父の姓にするのか、母の姓にするのか?」ということであり、また「親子別姓が生じることをどう考えるのか?」ということである。つまり、「そもそも現行法下では生じないことにどう対応するのか?」という懸念であって、これに対して「子の氏は戸籍筆頭者の氏になる。今までと変わらない」と答えても全く意味がない。こんな馬鹿げた言葉遊びは、意図的な「夫婦別姓デメリット隠し」と言われて当然だろう。

 

現行法は以下の通り。

民法第750条 

 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

民法第790条

  1. 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
  2. 嫡出でない子は、母の氏を称する。
現行法下では、婚姻の際に「夫の姓にするか、妻の姓にするか?(ほとんどは夫の姓となるが)」という選択しかなく、これとは別に「子供の姓をどうするか?」という選択肢など存在しない。そのような選択肢が存在するのは、「夫婦別姓推進者の頭の中」や、「近いうちに夫婦別姓が実現するはず、などと勝手な空想を前提に生きている(ふりをしている)者」だけだろう。
そもそも、「別姓夫婦は、あらかじめ子の氏を決めておく」というのはひとつの案に過ぎない。
Q8 別氏夫婦を認めたときの子どもの氏は、どうなるのですか?
A いろいろな考え方がありますが、平成8年の法制審議会の答申では、婚姻の際に、あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておくという考え方が採用されており、子どもが複数いるときは、子どもは全員同じ氏を名乗ることとされています。

「あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておく」ということと、「子どもは戸籍筆頭者の氏を名乗る」は別のことである。現行法では、「子どもは結果的に戸籍筆頭者の氏を名乗っている」に過ぎず、子どもの氏を選ぶために戸籍筆頭者を決めているのではないからだ。

戸籍筆頭者とは
各戸籍の最初に記載されている人。民法旧規定の戸主とは異なり、法律的な権利関係を意味するものではない。原則として、婚姻の際に氏を変えなかった側の者をいう。
大辞林 第三版

とあるように、「戸籍の記載方法」である。

現行法(夫婦同姓)下で、婚姻時に「どちらが戸籍筆頭者になるか?」などという発想は通常存在しない。

 

夫婦別姓が実現しても、子どもの氏は戸籍筆頭者の氏になるから、今までと変わらない」のウソは以下の通り。

 

①別姓実現時のひとつの案に過ぎない「子どもは戸籍筆頭者の氏」を、まるで決定事項のように取り上げている。

②「(別姓)夫婦の婚姻」と「子どもの氏」は本来単独で存在しうるものである。別姓婚も同性婚も、「結婚を当事者のみのものとする(出産と育児を前提にしない。女児より男児が求められる風潮になどにも対抗)」との認識のもとでなければ進まないものだ。ところが、ことが「子の氏」に及んだ途端、「それは従来通り」と臆面もなく主義を翻す無節操ぶりにはあきれるしかない。

アメリカのジェンダー論者は、子の氏についてどうすれば男女平等になるか悩んだ結果、「コイントスで決める」という方法を選んだ(冗談なのか本気なのかは不明)。つまり、本来「子の氏」を決めるなら様々な方法があり得る。「子は誰から誕生姓を引き継ぐか」を見ると、「父の姓を受け継ぐ」が世界の主流。別姓論者なら、この慣習にこそ突撃してほしいものだ。すなわち、「女の子は母姓、男の子は父姓」などを主張すべき。

Choosing Children’s Surnames | Psychology Today

しかし別姓推進派は、普段は現行法を男尊女卑だの封建的だの批判しておきながら、「子の氏」に関してはなぜか「従来通りだから問題ない」とする矛盾。「従来通りだから問題ない」のなら、そもそも夫婦別姓など必要ない。

③別姓夫婦の子の氏については、当然のことながら両家親族を巻き込んでの「氏の争奪戦」があり得る。この争奪戦が、表立った争いにならなかったとしても、望みが叶わなかった親族に何かしらの感情が芽生えることは、ある程度人生経験のある人なら理解できるだろう。

④「別姓で結婚すること」までは合意できても、「子の氏」について合意できず、結果として結婚に至らないこともあり得る。これは、結婚と共に子の氏が自動的に決まる現行法下ではあり得ないことである。

⑤別姓推進派からは、「戸籍筆頭者は、夫婦に主従をもたらすもので差別的」や、「戸籍筆頭者の交代制」、さらには「戸籍の廃止」という意見すらあるのに、子の氏に限っては「筆頭者の氏で変わらない!」となぜか大威張り。別姓推進派の支離滅裂ぶりは、一層激しくなっている。